3年め弁護士のひとりごと

弁護士村山世志彦の日記です。多少肩の力抜きつつ,弁護士業界のありふれたこととかオフの出来事を書いていこうと思っています。

【プライベート】ちょっと水場へ

いっぱいいっぱいの2か月でした。精神的にと時間的にとが交互に。
具体的には(書けません+書きません)÷2。

 

いろいろ思うこともあって、それは事件とは切り離した形で書きたいのですが、ちょっとすぐには言語化できなさそう。
入れ込んだだけに冷却期間が必要みたいです。

 

とりあえず今日、「その日思いついた行先にブラッと来てみる」という贅沢な時間の過ごし方をしました。
すぐ手前の駅までは、塾講師時代、数年間、毎週来てたんですけどね。なので、そこまでの車窓はすごく懐かしかったり。

水場あり、坂道ありの町並みで、降りた先もどこかしら懐かしかったり。

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言葉が形になったら、またこの続きに書いていきたいと思います。

【キャリア】これからのこと

先週、西口先生の記事をご紹介しましたが、その中に「郊外型」の事務所、という表現がありました。
で、昨今、e法廷に向けた動きも加速中であると。

 

果たして今までみたく、高い家賃払って裁判所の近くに事務所構えるのは合理的なんだろか?
というのは若手共通の疑問ではないかと思っています。
むしろ遠い方が、爺さんBとの飲み会に付き合わされんで済むからかえって合理的なんじゃないか?とか。

もちろん逆に、これだけZoomが普及してきた今、そもそも依頼人の方が事務所の近さにメリットを感じない、ということはあり得る。
ただ、少なくとも個人のお客様に関する限り、肌感覚としては、まだまだ対面での相談を希望するニーズはある印象。これはいざ自分が何かの分野でプロにコンサルを頼むとしても、確かに、リモートには多少の不安があって、それでも依頼するとなると、それなりに信頼できる筋の紹介とか、そういう事情がほしい。
そして紹介筋のお客様を呼び込めるくらいなら、やっぱり事務所の位置は関係ない、となる。逆にいえば、一見の方々としては、やはり対面でのご相談を望む流れが一定期間は続くのではないか、と。
で、さらに多分だが、相応規模の法務部があるとこは別論、以上の事情は、そうでない企業様でも変わらんと思うんだな。少なくとも初回に関する限り。テック系バリバリのスタートアップさんとかは別でしょうが。

 

 


…というようなことを思いつつ、独立するとすればどこだろうな、ということを折に触れて考える。
2月に同期で集まる機会があってから、具体的に考えるようになった。
その候補地が1つある。

 


なので、おとといの土曜、直にそこの土地柄見てみようと思って、ちょっと行ってきました。
まぁ、他の用事も兼ねつつ、なおかつ半分は気晴らしみたいなもんです。

 

 

 

 


僕のこと知ってる人がこれ見たらどこか分かるかもしれませんね。
ご縁のあった都道府県の、住んだことがあるわけではない市区町村(何回か通りすぎたことがあるだけ)。ネットで探す限り、弁護士はいない。
県庁所在地へのベッドタウン的な位置づけのとこで、支部があるわけでもない。
都道府県全体が車社会だから、本庁へのアクセスは車が主。

 

 

ここ1カ月ほど、ここに弁護士がいないの何でかな、って考えてたんですよね。
特にここ10年強、弁護士人口増加の関係で弁護士がいない地域の方が珍しくなってるから。
なので、単に、裁判所から遠いし、車社会だから地域密着のニーズもそこまで高くない、みたいな感じなのかなぁ、と。

 

半分合ってて半分間違ってた、みたいな感じだろうか。いや、結局今でも正解は分からんわけだけれども。

 

 

 

 

・大先輩方がいないのは、裁判所から遠いからだろうけど、
・若手がいないのは、多分だけど、
そもそも賃貸オフィスがない
ということもそれなりに大きい。

 

Suumoさんで調べても出てこないから、おかしいなぁ、とは思ってはいたんですよね。なるほどな。
まず鉄道で行って駅で降りて、ロータリーから伸びる大きな一本道、役所方面に向かって歩いてみるじゃないですか。
「オフィス」(=無形サービスを提供するとこ)がないんですよ。「お店」(=有形商品発売店舗)ばかりで。
いや、ないと言ったら語弊があって、他士業の事務所さんとか保険屋さんとか多少あるんですが、多くは可愛らしい一軒家さんで商売なさってるんですよね。

 

 

なるほど、そもそもそこか、という感じ。
これは、若手は参入しづらい。というかわざわざそこのハードル超えてまでここで開業するメリットを、少なくとも肌で感じづらい。
これなら本庁所在地でオフィス借りて、お客さんには来てもらうか、最悪自分が訪問すればいいんじゃね?となる。

 

 

 

そのまま役所周辺をぶらついて、次に自分が降りたとことは別の駅前まで歩いてみて、警察署の前なんかを通り過ぎつつ、大通りに沿ってぐるっと四角形を描いて、元の駅まで戻ってみた。
その最後の一辺が、県庁所在地に続く大きな幹線道路に当たるんですが。
なるほど。大きめの飲食店とかユニクロとかスーパーとかツタヤとかは、この通り沿いにあるわけね。
ポツポツと散発的に。

 

 

 

 

 

…さて。

 

仮にこの地で開業すると仮定すると、
①ハコをどうするか。
 →地元の不動産屋さん回って事務所利用可の広い部屋探すのが現実的、ということになりそうかな(ネットでは出回ってないっぽい。)。
  市街地と比べてそれに対するお客さんの抵抗感が少なそうなところは、逆に強みと言っていいのかもしれない。
②ターゲットとマーケット戦略は、当然、地元密着を狙うということになる。
 ただ、地元集客の方法それだけじゃなく、車社会かつベッドタウンという特性上、当然、県庁所在地の事務所との(特に価格)競争をどう回避するかは別途真剣に考えないといけない。
 差別化戦略として、「県内」レベルで売りにできる強みを作りたい。
 これが、どうすべきかを最近一番考えてることなんだけど、現地を見てもなかなかアイデアは降りてこんな。まぁ、そりゃそうだわ。
③立地は①②両方と関係するんだろうけど、まぁ上記幹線道路沿いかその近くの方がいいんだろうな。顧問営業も考えれば。
 駅の近くに寄せる必要性があるかどうかは、正直判断がつかん。あんまり関係なさそうではある。

そして、同地開業案の採否は如何。

 

 

 

 

 

…等と、桜を眺めながら考えました。

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東京と違ってまだ桜が見られたんですよね。
桜並木がとても綺麗でした。

【キャリア】企業診断3月号(68号)

法律雑誌の感想もいいが、時には違う方向性も。

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『企業診断』3月号。
中小企業診断士の情報誌です。
購読者層は受験生が多いのかな、という印象。法曹業界でいうところの法学教室みたいなものかな、と思っています。

 

以前チョロッと書きましたけど、僕は現在、中小企業診断士を目指しています。
で、今回の3月号なんですが、

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というレポ記事が記載されてて、神戸マリン綜合法律事務所の西口竜司先生が取り上げられています。
実はとある理由で、近々『診断士×弁護士』みたいな記事が載るらしいことは知っていたのですが、なるほど西口先生か、と納得。
シナジー効果を積極的にご発信されてる先生ですからね。
おっと思ったのは、インタビュアーの方も弁護士兼診断士だってこと(武田宗久先生)。
増えてるんだなぁ。

 

今回は、僕が診断士を目指している理由(ちょっと嫌らしいところも含めて赤裸々に。)等と、西口先生の記事の感想を書いてみたいと思います。

 

僕の話。
弁護士は、(まぁ分野にもよるんでしょうが)BSとかPLを見る機会が多いです。
完全街弁な僕ですら1年目すぐに見る機会が回ってきましたし。
その事件は、当時の事務所の顧問先(2社だけ)のうち1社の取引先が破産してしまった、という事件で、顧問先はそこに、結構なお金を貸してあげてました。
で、社長さんたちが、「返ってこないのはやむを得ない。ただ、きちんと今回のことを今後に活かすために、期日に出頭していただいて情報を引き出してきてほしい」と仰ったため、受任となった次第です。
この法人破産とか再生とかって分野は、財務諸表が見れなきゃ話にならない。また、社長さんも当然それらは見れるから、打ち合わせも見れることが前提で話が進む。
当然、いろいろ調べながらやりましたが、しょせんは付け焼き刃。それで思ったのが、

  • ちゃんと一度、体系立てて勉強しておきたい。とすると、何かの資格の勉強するのが手っ取り早い。
  • しかも、財務諸表が見れるだけじゃなく、それをある程度分析できないといけない。そうすると簿記はちょっと違うのかな。


ということ。それで、「何かいい資格ないかな」と思っていました。

ちょうどそんな時見つけたのが、中村真先生のブログ(めちゃおもろい)
で、過去記事よんでたところ、先生が診断士試験を受けられたときのを見つけました。
何やら、財務会計・事例Ⅳなる科目では、CVP分析やらIRR法やら財務分析手法を学ぶらしい。
「なるほど、これだ!」と思ったので、テキストを買って読み始めました。

 

実はこの時点では、診断士試験を受けよう!というまでのモチベーションはありませんでした(どうしよっかな、くらい)。
しかしその後、顧問業務中心の職場に転職して、社長さんの話を聞くことが多くなると、「もっとこの人たちに近い言葉でアドバイスできんかな?」と思うようになりました。
診断士試験、企業経営理論・財務会計みたいに大所高所から見る科目もありますが、運営管理や経営情報システムみたいな現場に近い科目もあり、むしろそっちの知識があると役に立つことも多い。
「アパレルの生産管理」って言われれば「だいたいあんな感じかな?」とイメージはできる、とか。

現時点の何となくの印象なんですが、特に中小企業の社長さんとお話することを考えた場合、

  • 法的なリスクを財務的な数字に置き換えて話す
  • 現場の実情をグリップする
  • 最新のマーケット動向にキャッチアップしておく

また、移籍先の事務所の姉弁、破産管財人として裁判所から事件振られていました。
それの補助に多少入らせてもらったこともあり、「こうなる前に再建に役に立てる仕事もできるといいな」、と思ったり。


閑話休題
そういうわけで、僕が受験を決めて勉強を始めたのは去年の1月頃。
間もなくコロナ禍が世界を覆い、「中小企業ヤバい!」となり、各種補助金がで下り始めました。
この状況はモチベーションを与えてくれましたね。
補助金申請するのに事業計画みたいなの書く領域で、診断士なら確実に役に立てるはずなので。

 

で、受験した一次試験、何とか合格しました。
ただ、そのあとのモチベーションが続きませんでした。再度の移籍活動と時期が被ったせいで。結構メンタルもやられてましたし。
二次、ダメでした。
そういうわけで、今、捲土重来を期しているところです。

 

以上、僕が診断士を目指している理由には、

①財務諸表が読めるようになりたい
②経営者とある程度目線を共有できるようになりたい
③会社がつぶれる前に債権の役に立てる仕事がしたい
補助金業務で役に立ちたい

というものがあります。
あと、ぶっちゃけ、ちょっとセコイ考え方かもしれませんが、

⑤他士業とのつながりが欲しければ、自分が他士業になっちゃえばいいじゃない、

というのもあります。もちろん本業しっかりしてないと意味ないですが。
加えて、

⑥法曹業界の旧態依然さが息苦しい、この世界一本にフルベットして大丈夫なのか

という不安もあり、キャリアの複線化を図りたいな、というのもあります。

 

 

 

 

そんな僕ですが、西口先生の記事を読んで、とても勇気づけられました。

経営者として経営をしっかりと理解するために、また、経営がわかる弁護士になることでより良い事件処理ができるのではないかと考えたことが、西口さんが中小企業診断士を目指したきっかけでした。

ですよね…。

士業団体「経士会」が開催している2次試験の勉強会に参加することにしました。

えっ、そんなのあるんですか!?

【司法試験と異なる診断士試験の注意点】

〇事例に挙げられている事実から事実認定を行ってしまうと、的外れな解答になってしまう

これ、分かるようで分からないようで分かるみたいな、本当微妙なとこなんですよね…。だから落ちたってのもあるんだろうなぁ。。

現在、中小企業診断士としては、経士会のメンバーからの紹介で受任した補助金申請や企業診断の一部を行っています。

こういうのできるようになるといいなぁ。

西口さんが経営する法律事務所は、裁判所の近くに所在しない郊外型です。しかし、顧客である依頼者の近くに事務所を構えるほうが実は理にかなっていたと、中小企業診断士として顧客と接する中でわかったそうです。

これは大変興味深い。

「まだまだ弁護士診断士は数が少ないからか、診断協会に所属していると、法律案件の紹介を受けることがあります。また、事業再生の案件で弁護士の関与が必要なときは、企業に詳しい弁護士ということでお声がかかることもあります。弁護士診断士は事業DDと法務DDの両方に対応できるため、銀行との交渉を行うときも活躍できる場面があるのではないでしょうか。」

…。(上記⑤)

「中小企業に少しでも救いの手を差し伸べるためには、弁護士だけでなく診断士としてのアプローチも有用です」

モチベーションになります!

 

 

弁護士診断士、SNS上だとけっこうお見かけするんですが、確かに、オフラインでの知り合いとなるといないから、まだ少ないのは事実なのかな。
頑張って、いろいろなことができるようになりたいです。

 

 


最後に一つ。
前回の転職活動の時、僕は、面接先には毎回「診断士を目指してます」ということを言ってましたが、それに対する反応は二極化されてました。

  • なるほどね、そういうのもありだよね、という向き。
  • 法律家は法律を極めるのが一番の付加価値の高め方なんじゃないの…?、という向き。


もちろん後者の考え方も真っ当なものだと思いますし否定する気はないです。
ただ、一つ思うのは、おそらく、診断士の資格を弁護士と同じような『プロフェッショナル』なものと思い込んでらっしゃるんじゃないかなぁ、と。
たぶんこれは誤解されやすいところで、診断士は、どちらかというとジェネラリストです。例えば一次試験の科目を見渡しても、
・企業経営理論
・財務・会計
・運営管理
・経済学・経済政策
経営情報システム
・経営法務
・中小企業経営・政策
と大変バリエーション豊か。
本当に、「企業にまつわるエトセトラを一通り押さえましょう」という感じで、専門分化は実務に出てからの話。
少なくとも勉強してる実感として、役に立たたないことをしてるような感じは一切しないです。

 

 

ただまぁ、自戒も込めてというか純粋に自戒して言うけど、何かを始めるのに「まずは資格を取ろう」という発想は良くないと思うので、勉強/資格取得それ自体が目標になってはいかんなぁと。
言うは易く行うは難し。

【プライベート&弁護士業務】『幽麗塔』の主人公たちが望んだ世界への一歩

突然ですが、漫画の紹介です。全9巻。

『幽麗塔』

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舞台は戦後10年弱の神戸ほか。「幽塔」の地下(超弩級の罠てんてこ盛りでウルトラ危険な迷宮になってます。)に眠るという財宝をめぐる物語、という体です。
主人公は二人で、天野太一(タイチ、今でいうニート、天涯孤独)と沢村鉄雄(テツオ、容姿端麗頭脳明晰身体能力高い、何やら目論見がある感じ)。テツオがタイチを幽霊塔の宝探しに誘うところから物語は始まります。
幽霊塔の現在の所有者は、検事である丸部道九郎(めちゃくちゃ独特の味を出してるキャラ)。
タイチは丸部の下に、雑用係という形で潜り込むことに成功する。
ところで塔では2年前、老婆が殺される事件が起きていた。その犯人とされているのが老婆の養女であった藤宮麗子で、生死不明。
そのいわくつきの塔で、タイチの心中憧れていた女性、花園恵が、何者かに殺されてしまう。
タイチは、その弔いとして、犯人を死番虫と命名し、捕らえることを決意する。

というところまでが1巻です。
ここで盛大にネタバレですが、テツオは実は男装した女性で、その正体は藤宮麗子。男『装』と書きましたが、心は男性。
そして死番虫は藤宮麗子とは別人。
老婆殺しの真相は、死番虫に殺されかけた老婆を麗子が見殺しにした、というもの(余計な話ですが、刑法的には、不作為犯が成立はするかな、多分。)。
その動機は、自分を引き取って以来ずっと、自分の心が男性であることに理解を示さず人形として扱われたこと。その過程で一度、老婆が麗子の少年らしい冒険心を利用して屋敷の地下に誘い込みそのまま閉じ込められかけたため、麗子が女々しく叫んで助けを求めざるを得なかった(結果、老婆は助けてくれた)場面が描かれるのですが、非常に残酷な場面です。
で、麗子=テツオは、男性として生きたい。そのためには戸籍がいる。しかし自分は人を殺す重みを知っているから、人を殺して奪うつもりはない。
そこで、塔の財宝と戸籍を交換しようと考えた。そのために財宝探しのパートナーとして、天涯孤独なタイチを選んだ。

タイチは、物語の途中(わりと早め)で、テツオが女性で藤宮麗子だと気付き、異性としての魅力を感じます。
しかしテツオから、自分のことは同性の友人だと思ってほしいと頼まれ、これを承諾しますが、この時からタイチの葛藤が始まります。
他方、タイチとテツオは、死番虫をめぐるある殺人事件の容疑者となってしまいます。この時、「若い男二人」で手配が回っていると考えられたことから、タイチとテツオは夫婦に変装することにするのですが、テツオが女にいわば「戻る」のは(藤宮麗子も老婆殺しの容疑者である以上)リスクが大きいと判断した結果、タイチが女装することになります。
タイチは、日常的な女装を体験し、女性の生きづらさ、男性の生きづらさに気づいて、それまでの自身の男性性が揺らぎます。

この漫画は、殺人事件の背景にある歪んだ社会構造、家族制度、その奥にある男女観を描くのですが、そこに少しずつ、テツオやタイチの苦悩、LGBTというテーマが重ねられ、重みを増してきます。
そのタイチとテツオ、警察に追われているわけですが、警察の中にも、2人が犯人ではないことを知っていて、2人に協力してくれている刑事がいます。山科刑事
序盤からちょいちょいそれらしき描写があるのですが、彼は、少年しか愛せないゲイ。
他方、丸部道九郎に育てられた養女、丸部沙都子という少女も登場します。
彼女は異性愛者ですが、丸部道九郎に性的な虐待を受けて育ちました。

物語の佳境、丸部道九郎は、起訴前の被疑者の勾留を解き、財宝を見つければ山分けだと言って幽霊塔の地下に放ちます(メチャクチャすぎるやろ検事…)。
同時に、被疑者たちだけでなくタイチら関係者も入っていいと言う。
入る関係者、タイチ、テツオ、山科、沙都子、山科の上司で丸部道九郎の指揮命令を受けてる陣羽笛警部、そして丸部道九郎。
果たして死番虫は誰なのか。
物語の山場です(なお、上記の老婆殺しの真相やテツオの目的が明らかになったのも、このときです。)。

塔の地下で合流したタイチ、山科、沙都子ですが、沙都子が、ある理由から、山科が死番虫ではないかと疑います(なお、違います。)。
折しもその直前に山科がゲイで女性に対して不能であることを知った沙都子、言い放ちます。

ヤダ、気持ち悪い!あっち行ってよ!!
もう~~~私の周りは変態ばっかり!!
助けて、助けて。頭がヘンになりそうだわ!
まともなのは私だけじゃない!!

山科、沙都子のほっぺをひっぱたき、言います。

その通り。お前だけだ。
今、この塔にいるのは犯罪者と殺人鬼と性的倒錯者ばかりだ。
普通のあんたが、ここじゃ一番の異端児なんだよ。

怖いだろ?孤独だろ?
一生そんな気持ちのまま生きていく人間が、この世の中にはいるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


忘れがたい名台詞ですね、僕にとって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



さて、丸部道九郎
彼は死番虫ではないわけですが、この漫画の真の「黒幕」とでも言うべきポジションの人物です。別に悪ではないというか、そもそも善悪を問題にする作品ではないですが、作者の丸部道九郎の、いわば儚い書き方、とても好きですね僕。
彼には14歳の時に関係を持ち、以降ずっと慕っていた女性がいました。「お夏」。
彼女は幽霊塔の地下について誰より詳しい人間でしたが、ある者の害意により、地下に閉じ込められ、死亡したであろうことを、道九郎は知っていました。
道九郎が幽霊塔を買い、被疑者を使い、自ら危険を冒してでも幽霊塔の地下に入ったのは、彼女(の遺骸)を探し出すためです。
また、道九郎とお夏は、お互い真摯に愛し合いながらも、諸事情から体面を憚った親の意向により引き離されました。その後も文通は続けていましたが、お夏が地下に閉じ込められ、それも終焉を迎えました。
もっとも、その前に、お夏は道九郎の子どもを出産していました。
その子こそ、藤宮麗子=テツオ。

他方、道九郎は、以後お夏のことを思い出すにつけ、彼女のような美しい女性になりたい、と思う自分に気づきました。
道九郎は、バイセクシャルです。

道九郎の究極的な目的は、
①拒絶反応が小さい実の娘であるテツオと脳移植し、女性の身体を手に入れること
②その身体で、脳移植後の男性の身体を持つテツオ(自身が実の親であることは伏している前提)と「本当のセックスをし」て、妊娠すること
③出産した子どもと脳移植すること、それを繰り返すことで、余りに儚かったお夏との逢瀬を記憶する者として、お夏との仲を踏みにじった汚い社会に対する儚い抵抗者として、永遠の命を生き続けること

最終的には、その目的は、潰えます。
その舞台こそ、裏六甲の研究施設、「幽塔」。
ご興味を持っていただけた方は、是非、本作を手に取っていただきたいと思います。

さてタイチくん、物語が佳境に差し掛かってから、一々ほんとにかっこよかったんですが。
最後に3つ、是非、彼の名言を紹介させていただきたい。
全部、僕の心に突き刺さった台詞です。


①幽霊塔の地下で財宝をゲットしたときの台詞。

わかってないな、テツオ。
一つの運動をおこす。―それは、闘うということなんだ!
誰かが矢面に立ちツバを吐かれ、殴られたり刺されたりしなきゃいけないんだ。
誰かを雇って、やってもらえることじゃない。―僕らでやるんだ。
これは、その軍資金なんだよ!
いくらかかるかわからない。生涯闘うことになるんだから。敵はこの世界全部だからね。
―力を貸してくれ、テツオ!

 


②幽麗塔にて、テツオが脳移植を受け入れようとしている時、タイチが言った台詞。

僕が知ってるテツオは、心に大きな弱味を抱えていた。
その消せない弱さに正面から向き合い、苦しんだ。
そんな苦しむ人だからこそ、弱者には優しかった。
君のその優しさに、僕は敬意を持ったんだ。

男らしさとは、優しさのことなんじゃないのか?

 


③本当にこの漫画の最後の最後、「翌年、日本一高い塔が完成した。」から始まる文。いわばタイチを語り部とする地の文。
 なお、これは東京タワーのこと。また、「新しい塔」というのは、スカイツリーのことが念頭に置かれてますね。本作が2011-2014年に掲載された作品で、スカイツリーができたのが2012年。
 この作品、いろいろ、時期的な設定が秀逸なんですが、最後までほんとそうでした。

翌年、日本一高い塔が完成した。
そこからは、東京のすみずみまでがよく見えた。
もうどこの暗がりにも怪人はいない。神秘の謎もなくなった。―そう。新しい時代が来たんだ。

いつか、この塔も朽ち果てて新しい塔に替わられる日もくるだろう。
でもその時には、

僕らのような二人が、もっと自由に生きていると信じたい―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


17日に、
⑴同性の事実婚も法的保護の対象になるとした高裁判決を維持し、上告を棄却した最高裁決定
同性婚を認めていない民法・戸籍法の規定が憲法14条に反し違憲であるとした札幌地裁判決
が出て震えました。それで幽麗塔を読み返しました。

 

⑴の事件は、パートナーに不貞され、パートナー関係を失った方が、その不貞した元パートナーに慰謝料を請求した事案で、東京高裁が100万円の慰謝料請求を認めていました。
そこで、元パートナーの方が上告しましたが、最高裁第二小法廷は、上告を棄却する決定をしました。
同性の事実婚を法的に保護する司法判断は初確定です。

 

他方、⑵の札幌地裁判決は判決文が手に入りましたので、以下、内容をご紹介したいと思います。

 

14条違反
判断の骨子は、次のとおりです。

憲法14条1項(「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」)は、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づかない法的な差別的取扱いを禁止するものである。
立法府は、同性間の婚姻及び家族に関する事項を定めることについて、広範な立法裁量を有している(ので、当該差別的取扱いをすることがその裁量権の範囲を超えるといえる場合に、同取扱いは合理的な根拠を欠くものとして、違憲となる)。
性的指向は人がその意思で決定するものではなく、また、人の意思又は治療によって変更することも困難なものである。よって、性的指向は、自らの意思に関わらず決定される個人の性質であるといえ、性別、人種などと同様のものということができる。
 したがって、区別取扱いが真にやむを得ないものであるか、慎重に検討されなければならない。
民法・戸籍法における婚姻に関する諸規定(「本件規定」)の目的としては、子の有無、子をつくる意思・能力の有無にかかわらず、夫婦の共同生活自体の保護も含まれる(目的の正当性は認められる。)。
⑤ここで、婚姻によって生じる法的効果の本質は、身分関係の創設・公証と、その身分関係に応じた法的地位を付与する点にあるといえ、契約や遺言など身分関係と関連しない個別の債権債務関係を発生させる法律行為によって代替できるものとはいえない。
⑥同性愛者が、このような法的効果の一部ですらも享受することができないのは、立法府が広範な立法裁量を有することを前提としても、その裁量権の範囲を超えたものであると言いわざるを得ず、その限度で合理的根拠を欠く。
∴本件規定は憲法14条1項に反する。

私見ですが、ポイントは、

・③で、性的指向は意思で変更することができない性質のものだと認定して、裁量を縛ったこと
・④で、婚姻の目的は子をつくり育てることだけではないとすることで、「子をつくれない同性愛者に婚姻を認めないのは当然」理論を潰したこと
・⑤で、婚姻による個々の法的効果ではなく、婚姻という身分関係の創設と公証それ自体を問題としたこと

だと思います。
特に⑤は「なるほど!」と膝を打ちました。
婚姻しなくても婚姻したのと法的効果は実現できるかもしらんが、そういう問題ではないのだと。
当事者の方からしたらそりゃそういう問題じゃないでしょ、という話で、そこが正面から文字化され認められたのは大きい。

 

24条・13条
他方、今回の判決は、24条違反・13条違反の主張は認めませんでした。

24条1項
:婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
13条
:すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

解説しますと、憲法上、個々の条文で明記されていなくても、憲法上の権利として保護する必要性が高いものは、13条を根拠に権利性が認められるものと考えられています(よく知られたところで、肖像権とか名誉権とかプライバシーとか)。
よって、今回の原告側の主張は、「同性婚する権利は24条1項で認められているはずだし、仮にそうでないとしても、13条で認められる」という二段構えのものだとみられます。

こうやって予防線を張ること自体は原告側弁護士の活動として理解できますし、僕も同じ立場だったらそうするでしょう。
でも、本件はかなり価値判断的な要素が強く、法技術的側面は小さい事件なので、裁判所が、24条で拾えないものを13条で拾う判断をするとは、正直あんまり想定されないと思います。
違憲を認めるとすれば24条違反を正面から認めるだろう、と。
なので、ここの主戦場は24条だったと言えると思います。

 

その24条1項についての裁判所判断ですが、要するに、

  • 民法制定時には、当時の知見に照らし、同性婚は当然に許されないものと解されており、同性婚について何の議論もされていない。
  • これは、現憲法制定時も同様である。
  • つまり、24条1項は、同性婚のことはおよそ想定していない。
  • したがって、同性婚する権利は、24条1項によっては基礎づけられない。

という理屈です。

感想としては、保守的な裁判所としてはこういう判断が穏当と判断したのかなぁ、それはそれで理解はできる、というあたりです。
ただ、「立法当時想定してなかったから権利性はない」というのは、普通に考えれば到底一般化できない理屈なはず。
24条1項は、同性婚を想定していなかったからこそいわば『素朴』に「両性の合意」って書いたわけで、逆に言えば、「両性の」の部分に意味をもたせたわけではない。
したがって、そこはスルーして読むべきで、すると、「婚姻は、(当事者の)合意のみに基いて成立」する、となる。
となれば、同性の当事者が合意しても婚姻できない現状は違憲だ、としなければ、少なくとも本来的にはおかしな話だと思います。


国家賠償法上の違法性
さて、今回の原告の方々は、同性婚を認めない現状が違憲であることを前提に、どのような現状を変えなかった(同性婚を認めるよう法改正しなかった)ことにより精神的損害を被ったとして、国家賠償法という法律に基づき、国に慰謝料を請求しました。
立法不作為の国賠法上の違法性、などと言います。
これが認められるのは、判例上、

「法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利・利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合」

であり、かなりハードルが高いです。
今回も、認められませんでした。

ただ、どうなんですかね。
僕は2002年に高校を卒業して大学に入学し、そのために上京した人間なのですが、その前後で同性愛に対する世間の雰囲気みたいなものが違った体感みたいなものがあります。
これが時期的なものなのか田舎と東京の差なのか他の何かなのか、よく分かりません。
ただ、このあたりで既に大都市圏で同性愛に対する肯定的な知見が広まっていたのであれば、立法不作為の違法判断もあり得たんじゃないだろうか。

 


以上、判決を概観して個人的見解を述べてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こういう判決が出て改めて思うのですが、弁護士は闘うときは闘わねばならん、と。
というか、もちろん日々いろんなものと闘ってるんですが、世間一般の方が「弁護士は闘争者だ武闘派だ」とイメージされる場合の闘う相手は現実には全然違うのであって、そこの誤解は丁寧に解いていくべきだと思っています。
このへんはそのうち記事でも書くつもりですが。
弁護士は基本、紛争解決業であって、紛争を収めるのが仕事であり、炎上を煽る人間とは対極にいます。無駄に他人を攻撃したりはしません。
ただし、圧倒的な強者(代表は、国)の理不尽に対しては、徹底的に闘います。刑事弁護はまさにそれ。
そこのスピリット、日々の業務に埋没してると忘れがちではあるのですが、思い出させられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今回の最高裁判決の被上告人代理人の先生、札幌地裁判決の原告代理人の先生方に、心から敬意を表します。

【弁護士業務】刑事弁護についての徒然①

先日、約1年半前に国選で受けた刑事事件の被告人だった方が出所するということで、出迎えに某刑務所に行ってきました。
特に何か考えてやったことじゃないですが、出迎えを通じて漠として思うところはなきにしもあらずで、そのうち大きな一つは、言語化すれば、間違いなく、
「然るべきところにリソースが投下されてないよなこの社会」
というもの。
というか、国選の刑事弁護においてこれ↑を思わないことはもはやないわけで、言い出すと話が収拾つかなくなるんですが、今日は、そのうち一部について、僕なりの感情を文字化してみたいと思います。弁護人の徒然も交えつつ。
なお、僕は「刑事事件を多く扱ってます!」的弁護士であるわけではないですので、悪しからず。

 

 

刑事弁護の徒然。
弁護士やっててクライアントの方々と向き合ってると、刑事ドラマのイメージで民事訴訟を誤解されてたりして、そのせいで「何でもっと戦ってくれないんだ!」みたいな不満を溜め込まれるというのはあるあるなのですが、刑事に関しては、まぁそういうことは少ないです。
民事は長いですし、相当数が和解で終結になりますし、その過程でクライアントの方にとっての利害状況を説明することも当然ありますが、それは時に説得に近く、時に弱気と映ってしまうこともあり得ます。
対して、刑事は短いですし、正式起訴されれば公判開かれて被告人質問まで確実に行くわけで、そこに和解なんて概念はないです。被告人質問中はすぐ異議出せるように浅く座り、常に臨戦態勢。起訴前だって取調べがおかしければ「そんなんなら黙秘しましょう」って平気で言いますし、逆に「え、大丈夫すか?」って引かれるくらいです。The・弁護士、というイメージどおりなんでしょうねきっと。
一方で、被疑者被告人の方もテレビドラマがフィクションだってことは理解されてますし、初めて刑事手続に乗せられればそれは当然不安になるので、弁護人がきちんとした説明と活動をする限り、不信感を持たれるリスクは小さい。
初めてであれば。
 

これに前科(・前歴)がついてくると、少し話が屈折してきます。もちろん最終的には人によるんですが。
否認事件であれば格別、自白事件の場合、規範意識の鈍麻は否めませんし、そこに「刑務所ズレ」みたいなものが加わって、公判に臨むに当たって共有すべき価値基準を共有するのが困難なこともあります。
「(知らんけど)まぁ普通に考えてガセじゃないすか?」みたいな刑務所ガセを「~って聞いたんですけど、そうなんですよね?」みたいな感じで聞かれたりとか。
刑務所ガセ、ネットデマと似たところがあって、人間て基本、自分に都合がいい情報を集めて信じ込んで、「それウソですよ」って指摘する人間を敵視するんですよね。
加えて、同種前科前歴が複数あるとなると、何らかの依存症等をお持ちである可能性も念頭に置かないといけませんし、それはイコール、認知構造の違いを覚悟するということでもあります。

 

一般の方はやっぱり民事より刑事の方がイメージが湧きやすいのか、弁護士やってると、友人等から、刑事弁護に関する質問を受けることもあります。
その場合、刑事ドラマや法廷ドラマなんかを念頭に「実際どうなの?」みたいな聞かれ方をすることが多いです。あと、「何であんな奴らの弁護ができるの?」も鉄板ですかね。
要するに、刑事手続に臨む弁護人としての立ち位置・スタンスに関する質問。
どれくらい真面目に答えるかいつも迷うんですが、そこは、ドラマと違ってオチがどれだけ地味だろうが、否認事件だろうが自白事件だろうか、変わらないところです。
有罪であることに変わりはなくとも「検察官、評価盛るのは絶対聞き逃さんぞ」と思ってます。闘争的と言い換えてもまぁ間違いではないです。下らない演出はしませんけど。
刑事弁護やってて迷いが生じるのは、そこじゃないんですよね。

 

特に自白事件の場合は当然、有利な情状をどれだけ主張できるかが一番の問題になるわけですが、これ、テクニックに走ってできることってほとんどないんです。
言葉だけの反省で乗り切れるほど検察官の反対質問甘くないです、というか容赦ないですよアレほんとに。「そういうときは異議出してよ」と思われるかもしれませんが、法的に正当な形式で質問がされている限り、内容がどれだけ苛烈でも(侮辱とまで言えるケースでない限り)異議って出せないんです。
裁判官も、被告人の『反省』は厳しく聞きます。僕がお世話になった某裁判官は、「私は公判の段階で本当の意味で反省している被告人はいないと思います。」とまで仰ってました。
そこは用語の定義問題でしょうが、反省の深度が問われるのは公判に限った話じゃなく、示談だって無論そうです。
社会内更生が可能だって主張にしても、要はどれだけ中身のある環境・防止策を準備できるかがクリティカルな問題で、それと本人や情状証人の発言がズレてないかは、法廷でホントにシビアにチェックされます。

 

何が言いたいかというと、情状弁護するためにはご本人と弁護人が一緒になって「どうすれば再犯を防げるか」真剣に考える必要があるということ。
それは、犯罪に至った過去を分析してダメだったところを修正するって作業なので、ご本人には負荷がかかるし、弁護人との信頼関係がないと具体性のあるモノはできません。
しかし、特に初犯じゃない方の場合、上述のように、これが難しいことが多い。妙に場慣れしていてそれがいい方向に転がってないこともあります。もっと端的に、半分人生投げてる雰囲気を感じることもなくはないです。
こうなってくると、どこまで弁護人としていわば厚かましくその方の人生にコミットすべきなのか、接見のたびに自問自答せざるを得ません。
どこかで一回、けっこう強めのことを言わざるを得ないポイントを通過することが多いんですが、アレ、少なくとも僕は慣れませんし、精神削られます。
スタンスに迷いが生じる局面は、僕の場合、そこです。

 

冒頭書いたように、僕は「刑事事件を多く扱ってます!」という弁護士ではありません。これ、別に卑屈になるわけじゃなく言うんですが、そういう僕が語る上記葛藤、刑事弁護の取扱いが多い先生にとっては、そんなの日常茶飯事だ的な部類に入るんだと思うんです。
実際、弁護士どうし刑事弁護の話になれば、前科前歴つきの方の弁護の話なんてザラです。むしろそっちのが多いんじゃないかとすら思うこともあります。
でもね。
僕は今、(最終的には人によりますが、特に)初犯じゃない方に関する再犯防止策を練るに当たっての葛藤を論じています。
これ、当然、初犯のときに検討されたはずの再犯防止策が機能しなかったことを意味するわけですよ。
これが日常茶飯事ってのは、本来、おかしいと思うべきであるはずなんですよ。

 

 

さて、今回お迎えに行った方の事件の話。
もちろん詳しくは書けませんが、大手小売店舗での転売目的の万引き事案で、前科前歴複数、ご本人に身寄りがなく、かつ、障がいを抱えていらっしゃるため就労能力が低いケースでした。
これですと、弁護士一人の活動で打てる手が、正直、何もありません。小売大手の業者さんはほぼ示談を受け付けて下さいませんし(※それを不当だと言う気は全くありません。)、再犯防止環境を作ろうにも協力者がいません。
とにかく信頼関係維持のために接見を重ねつつ、早々に福祉の方のご協力を仰ぎました。

 

東京の弁護士会は、公益社団法人東京社会福祉会様及び一般社団法人東京精神保健福祉会様との間で、障がいのある方の刑事弁護に関して連携を行っています。
弁護士が必要だと思った場合、相談依頼書を弁護士会事務局に送ると、会が社会福祉士精神保健福祉士の方を紹介してくれます。
本件で再犯防止環境作るためには福祉の方のお力添えが不可欠なので、この制度使いました。
刑事弁護活動的には、福祉士の方のお力添えで策定した再犯防止計画(正確には「更生支援計画」)を紙にして公判で証拠提出し、「社会内更生環境は整っている」旨主張することになります。

 

本当にこの制度があって助かりましたし、本当にいい先生を紹介していただきました。
今回の出迎えもその先生と2人で行きましたし、出所後の生活のため、いろんな手配をしてくださいました。
本当にお世話になりました。

 

しかし、本当に申し訳ないとも思ってます。
この制度で支払われる福祉士の先生への報酬額、低すぎるから。
今回かなり大変だったので上限額いっぱい認められましたが、それでも恥ずかしいレベルです。
正確に言うと「報酬」ではなく「助成」なので、超過分はお支払いしますと申し上げたんですが、断られました。
福祉士会が「上限額以上請求するな」とアナウンスされているのだそうです。

 

というか①、上記紹介制度はあくまで刑事弁護活動のための連携を目的とするものであり、『刑事弁護活動』それ自体は判決宣告とともに終了しておるわけなので、以後の活動(福祉士の先生のも僕のも)は全部、位置づけとしてはタダ働きということになります。
というか②、上記紹介制度は弁護士会が独自に行っているもので、報酬も元を辿れば弁護士会費であって、公金が投入されているわけではないです。
要するに、今回のように再犯防止のために福祉の協力が不可欠なケースにおいて、そのために必要なリソースに公金を投入することに対する社会的コンセンサスが、わが国にはない、というのが現状です。
さらに言えば、同制度は東京にはあるけど、地方にもあるのかは僕は知りません。大阪とかは分からんけど、たぶん、ほぼないと思います。

 

今回、刑務所から最寄り駅に向かう道すがら、福祉士の先生が「出所日に迎えに来てくれる弁護士の先生なんていませんよ、良かったですね●●さん」と仰ってくださいました。
それに対して、「いえいえ、私は刑事弁護の数をこなしてないからできるだけですし、というか●●先生こそこんなに熱心に活動していただいて、ほんとにありがとうございます。」みたいなお返事をしました。
この会話をしながら、つくづく、
「然るべきところにリソースが投下されてないよなこの社会」
と思った次第です。

 

自白事件で再犯防止策を検討しないことなんかあり得ないわけですが、上記のとおり、再犯者の弁護が日常茶飯事になっている現状があるわけです。
これ、福祉的支援があれば違ったケースも相当数あるんじゃないかなぁ、そこにもっとリソース投下できればいいのにな、
と、思った次第でした。
 

 

とはいえ、上記紹介制度が始まったのも平成27年からですし、被疑者被告人の方への福祉支援の必要性にスポットが当たり出したのも最近のことなので、あまりボヤくのもどうか、というところですね。
僕個人としては、弁護士会があんまり積極的に無料サービス提供するのは業界構造を歪めるから反対派なんですが、世間の理解が得られていない問題領域に過渡的に資金投下しつつ周知啓蒙活動を行って世論を動かす、というのはアリだと思います。
そういう政治力がないのが問題ではありますが。

 

 

 

 

 

何はともあれ、今回のご本人が、これから、何とか社会と折り合いをつけてやっていけますように。

【弁護士業務】顧問契約の価値とか友人からの法律相談とか

今日も徒然に書かせていただく所存ですが、突然ながらクエスチョンです。

A:「事故に遭ったんですが、これから何に気を付ければいいですか?」
B:「むち打ちで、保険会社から「そろそろ打ち切りで…」などと言われてます。後遺症が残った場合も級によってもらえる額が違うと聞きました。これから何に気を付ければいいですか?」

弁護士にとって答えるのが簡単なのは、どちらだと思いますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簡単すぎましたかね(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

答えは、Bです。
圧倒的に、Bです。

  • いつ頃事故に遭われましたか?●か月前ですか。なるほど。それくらいの時期になると、打ち切りの打診があることは、よくあります。
  • お怪我の具合はいかがですか?…そうですよね。どういった治療を受けられてますか?…頑張って通院の続けていらっしゃるんですね。
  • では、保険会社担当者に、「あと1、2か月通院を続けさせてください。それで効果が感じられなければ、後遺障害の診断を受けます。」と提案してみるとよいと思います。
  • お医者様はよく診て下さってますか?…いい先生だと心苦しいとは思いますが、まだ常に痛みがある状況であることは、正直に仰ってください。14級と12級の違いは…(以下略)。

スラスラ言葉が出てきます。

 

 


対してA。
ご想像がつくかと思いますが、わりと、答えようがありません(笑)
(まぁ、お電話でのご質問であれば、まずはざっくりお話をうかがえばいいんですが。)

  • 今、どういう状況なんだろう?事故直後?(じゃないよな多分)事故に遭ったけど面倒で病院に行かないまま1週間くらい経ったパターン?
  • 人損?物損?
  • お仕事されてる方?
  • 交通事故に「遭った」というが、そもそも被害者側という理解でいいの?

などなどもそうですし、

  • 一から説明する感じでいいのかな?

という疑問も湧きます。また、これと裏表みたいな話なのですが、経験上、こういうバクッとしたご質問でも、実は注意点を網羅的に知りたいわけじゃなく、知りたいポイントは一応限られている、ただどういう聞き方をすればいいか分からないだけ、というケースも多々あります。よって、

  • 実際のところこの方、何を知りたいのかしら?

ということも考えます。

 

 

さて。
顧問業務というものがあります。スタンダードな形態は、

「月●万円の顧問料で、実働概ね■時間の範囲の法律相談や契約書チェックが無料となります(訴訟対応等は別料金ですがディスカウント)。」

というもの。
この法律相談、どんな質問が来るかというと、
Aタイプです。
もちろんBタイプが来ることもありますし、法律事務所やクライアントにもよるでしょう。顧問先が大企業でそれなりの規模の法務部をお持ちなら、むしろBじゃないとおかしいでしょう。
しかし、いわゆる町の弁護士(町弁)の場合、基本、Aです。

 

これは、ある意味当たり前で、例えば上記Bの例はギリギリ間に合うかな、というあたりですが、例えば、

  • 保険会社担当者に言われるまま治療打ち切って
  • お医者様の手前「お陰様でよくなってます、でもこういう動きをすると痛いんですよね」みたいなお返事されて、それが医証に反映されて
  • 後遺障害診断書出て、保険会社から賠償額提示されて

「でもやっぱり痛いんです…納得できないです…」ってなってご相談いただくこと、正直多いのですが、歯痒いです。
遅いです。
もっと前ならできることもあるんですよ。もちろん最善は尽くしますが。
できれば事故直後にご相談いただきたいです。

 

なので、顧問としては、Aの段階で相談してもらわないとむしろ顧問の意味がない。
逆に言うと、これが顧問契約の第一の価値です。
お悩みがバクッとした段階であっても、気軽に相談できること。
これ本当に大事で、弁護士やってますと(というか司法試験に受かったあたりから)「何かあったらよろしく!」なんて言われることも多いんですが、そういうとき僕(たぶん多くの弁護士も同じだと思います。)、
「できれば何かある三歩手前あたりで相談してくれ」
と思ってます。

  • 交通事故で保険会社示談提示後のご相談もそうですし(上記)
  • 養育費いったん決めた後「やっぱり額が低くて生活できないから値上げ交渉お願いしたい」とか
  • 「明日の総会で役員の報酬決めようと思ってるんですが、某株主から議案の概要事前に教えろって言われて困ってます」とか(@役会設置会社)

もちろん頑張りますけれども、最善の提案しますけれども、できればもう三歩手前でご相談ください、という感じです。

 

顧問契約、これに加えて、どれだけの付加価値を乗っけられるかが勝負ですね。
質と量という話になる。
量は、Techを駆使して労働集約性をどれだけ高められるか、というのが一つの方向性なのかな、と思います。まぁこれも質の問題かもしれませんが。
他方、質は、情報の共有を平時からどれだけできるかが大事で、そこの工夫の仕方を模索していきたいと考えています。
上記Aの例でいろいろ疑問が浮かぶって話ですが、これ、平時の情報の共有があれば相当程度が埋められるはずですから。逆に、相談時いちいち前提から確認してたら、場合によっては「何のための顧問すか?」となりかねませんし。
このへん、おそらく、法律事務所ごとに本当にバラつきがあります。
僕としてもうまく差別化してうまくアピールしたいですし、もしこのブログ読んでくださってる方で複数の事務所から顧問契約打診されてるなんて方がいらっしゃれば、逆に先方に聞いてみるといいと思います。
「貴事務所と契約した場合、平時からどの程度密に情報を共有していただけますか?」って。

 


以上に対して、個人の方で、保険でカバーできる事案とか、その他何らかの事情で懐を痛めずに弁護士に相談できる事情がある場合以外。
〇 ①弁護士ドットコム等のポータルサイトで質問してみる
◎ ②事務所の戦略として無料相談を受け付けているところに相談してみる、法テラスを使えるなら法テラスに行ってみる
となるでしょう。
× ③知恵袋とかで質問してみる
はやめましょう。わりととんでもないことになります。
「④他士業の方に法律相談」はどうか?
社労士の先生に労働問題を相談するとか、司法書士の先生に登記の質問をするとかは当然、アリなのですが、
「弁護士以外に離婚問題を相談する」
とかはやめましょう。
これは他士業の先生方へのリスペクトとは別次元の話で、非弁行為といって弁護士法72条違反ですし、わりと深刻な消費者被害を被りかねません。
③④の詳細は気が向いたら別記事で書くかもしれません。

 

さて、「⑤友人の弁護士に相談する」はどうか?
男子校風のノリで(僕は男子校出身)非常にぶっちゃけて言えば、相談したときに、
「お前俺のことナメてんのか 笑」
みたいな返しが来る程度の仲でれば、逆に、相談は『アリ』です。
それ以外はナシだと、僕は思います。

 

これは僕自身、自戒を込めてなのですが、

  • 交通事故なんかで(今回交通事故のたとえ多いな)医学的にけっこう高度な問題に取り組まなければならないことがあるときに、お医者さんの友達に
  • ホームページ作成とかのことで、元SEの友達に
  • 単純に、法律の特定分野の専門的なことで、同業の専門の友達に

「ちょっと教えてほしいんだけど…」とかって連絡したくなる誘惑に駆られることは、結構あります。
クライアントサービスのために業務上の必要がある場合は尚更で、けっこう強い誘惑です。
でも、そのとき、相談していいかどうかは、上記を基準に判断することにしてます。まぁそうすると、たいがいは「やめとこう」という結論になるのですが 笑

 

非常に分かりやすい記事を先日、拝読しましたので、リンクを貼らせていただきます。

どうしてプロに無償で仕事依頼しちゃダメなのか - 原価のある、時間 - What a strange world it is.

 

引用させていただきます。

だって八百屋さんは仕入れて来てるじゃん!
モノには原価(仕入れ値)があるんだよ。
"技術"はタダでしょ。ちょっとやってくれてもいいじゃん!!

という方もいるかもしれませんが、"技術"を習得し、業界で生き続けるための修練には膨大な時間とお金がかかっています。
制作実費や光熱費などの経費以外にも、技術を発揮させる道具(プロ仕様は高額でケアも大変なものが多い)や、それを支える体力、勉強なんかも原価と言えると思います。

つまり、プロの技術は"原価のある、時間"でもある。

本当に仰るとおりで、お医者さんなんか非常に分かりやすい話、たとえば18歳で医学部入ってお医者さんになった28歳の先生に1分相談して回答をもらった、という場合、その回答の価値は「1分分」ではなく、
最低でも「10年+1分分」
であると。むしろ、「28年+1分分」と言っていいと思います。
それをタダでやれというのは、時に、その人のプロとしてのプライドを削る行為です。
友達であれば尚更、友人のプロフェッショナル性を尊重しましょう、と。

 

とはいえ、頼まれればやっちゃうことも多いですけどね。特に上記Bタイプの相談を友達から持ち込まれたら、まぁ断らないかなと。友達の定義にもよりますが 笑
Aタイプは、正直、イラッとしますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何でこんなこと徒然書く気になったかというと、先日、友達から相談を受けたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「よくぞ、相談してくれた」って思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思える友達がいるって、幸せなことですね。

ソイツは僕の、大切な友達です。

【法律書・法律雑誌】ジュリスト2月号(1554号)

ジュリスト2月号(1554号)を読みました。
今回は妙に頭に入って来ない裁判例が多かったな…。

特集は
「インターネット上の誹謗中傷問題―プロ責法の課題」

「民事裁判のIT化」

 

 

「インターネット上の誹謗中傷問題―プロ責法の課題」
僕がSNSを積極的に使っていこうと思いだしたのは去年のこと。
まずは情報収集のツールとして使いだした矢先に木村花さんの痛ましい事件が起きて、すごく衝撃だった。
その後の総務省の動きが速いのもびっくりして見てた。
なので、本誌でいろんな角度から誹謗中傷問題をまとめてくれたのは、知識のアップデート上、とても助かった。
特に…

①「インターネット上の誹謗中傷問題―特集に当たって」宍戸常寿先生
要は冒頭のまとめなんですが、ジュリストの特集のコレ、毎度簡潔で読みやすくて、うまくまとまってると思うんだよね。
今回も、「Ⅰ プロバイダ責任制限法の見直し」と「Ⅱ 官民通じた誹謗中傷対策」の2つの柱を、端的にまとめていただいている。

②「発信者情報開示手続の今後」垣内秀介先生
プロ責法見直しの方向性とその議論過程を分かりやすくご説明いただいている。
知識、業務で日常的に使ってないとすぐ忘れてしまうんだが、そうだった。
コレですね。新たな裁判手続の概要は、p18の図に集約される。
アクセスプロバイダが保有する発信者情報を早期に保全して開示命令を出す前提を固める、そしてこれと開示命令までを一つの手続で行えるようにする。
p32の「まとめ」を抜粋。

「新たな裁判手続の創設及び特定の通信ログの早期保全」のための方策として、発信者の権利利益の確保に十分配慮しつつ、迅速かつ円滑な被害者の権利回復が適切に図られるようにするという目的を実現するために、現行法上の開示請求権を存置し、これに加えて非訟手続を新たに設けることを前提として、アクセスプロバイダを早期に特定し、権利侵害に関係する特定の通信ログ及び発信者の住所・氏名等を迅速に保全するとともに、開示可否について1つの手続の中で判断可能とするような非訟手続を創設することが適当である。」

③「誹謗中傷と有害情報」上沼紫野先生
僕らはどうしても「法的」に思考する、つまり民事/刑事的に違法な行為がなされた場合に何ができるか(同行為をした場合にどういうリスクがあるか)という脳ミソで考えがちだけど、実際には当然、その周辺にはグレー領域的なものが広がっている。
そこも視野に入れて「違法・有害情報」を整理して、当事者の対応を検討するとどうなるかをご説明いただいている。
「違法・違法でない」×「被害者がいる・いない」の4分類の思考法など、「なるほど!」という感じ。

④「匿名表現の自由」曽我部真裕先生
忘れちゃいけない憲法論、プロ責法4Ⅰ①の明白性要件について。匿名性の剥奪を定める制度の違憲審査基準について。
納得させられる/納得せざるを得ない論考だと思いました。
非常にチープな感想を言うが、受験生時代、憲法って、
・プラスのものであるにせよマイナスのものであるにせよ、ある行為なり状態なりの「価値」を丁寧に拾って指摘できるか
・そのそれぞれを憲法論という「法律」論のスキームの中でいかに位置づけて議論を組み立てるか(単なる比較衡量は最後の手段)
が点数を分けるよなぁ、と思いながら過去問と格闘していたのを思い出した 笑

 


「民事裁判のIT化」
こちらは座談会。学者×2+弁護士×2+最高裁参事官×1。
ざっくり、フェーズ1どうすか?という感じ。

感想①:現場は概ね肯定的ってのは正直そらそうやという感じだが、そう思うのは僕が現場の人間だからですね、はい。
・(電話会議と違って)ちゃんとお互い顔が見れてノンバーバルなところも含めてコミュニケーションとれること
・事務所にいながら柔軟に期日入れられること
はメリットしかないんですよ(まぁ時には一人で地方出張行きたいけど)。
しかし座談会でも指摘されてたが、フェーズ1実施とコロナがかぶったのはホント『奇』運だったよなぁ。
感想②:ちゃんと民訴の知識、維持してかないとヤバいなと。
いやヤバいというほどではないんですが、読んでて規則の条文の指摘とかがあると、「やべそれなんだっけ?」と思って慌てて条文を引いた。
規則91Ⅱ(書面による準備手続における調書)なんかは押さえとかんとな、とか。
修習生時代までは別論、弁護士になると、正直、訴訟なんて弁護士の仕事の一部でしかないから、ともすると手続法領域の処理をJ・Sにぶん投げがちな思考に陥る。
ぶっちゃけ、それはそれでそれなりに合理的な思考だとは思っているが(執行の目録なんか、修正が入らんブツ最初から用意できるBいるのか?とか 笑)、最低限押さえるべきは押さえとかんといかんよな当然、と襟を正した次第。
いや、最低限の知識だけで乗り切るつもりはないけれども。
感想③:現場のJの意見が聞きたかった。
こはちょっと辛口になるが、このテーマを論じるのに、学者さんが2人も要りますかね?1人でよくない?そんで第一線の地裁のJ入れればよくない?
読者の多くもそう思ってるんじゃないの?
加えて、この参事官さん、折々に「これを機に民事訴訟のプラクティスを見直そう」みたいなこと仰ってて、それ自体はそのとおりなんだけど、某所で、裁判所内でも、上の目論見と現場の状況認識には乖離があるみたいな話きいたことあるんですよね。
そのへんの生々しい話聞きたいってのは、さすがに贅沢が過ぎるんだろうな。
まぁ実際、最高裁参事官の前で現場のぶっちゃけた意見を言えるのかという話でもあるし、意見が割れるであろう2人を送り出すのを裁判所が良しとするか?という話でもあるんだろう、きっと。
知らんけど。

 

 

いや、最後若干文句言っちゃいましたけど、今月もためになりましたジュリストさん。
ありがとうございました!